陸上自衛隊 化学学校 様 NBC関連システム 演算機能改修のための調査研究役務 事例

お客様: 陸上自衛隊 化学学校 様
件名: 陸自クローズ系クラウドシステムの指揮統制(NBCサービス)の演算機能改修のための調査研究役務
契約形態: 入札による落札(役務請負契約)
実施期間: 2025年10月 – 2026年3月(6か月)
本事例について: NBC(核・生物・化学)事態への対処に関わるシステムについて、装置の算出結果を専用クラウド上のシステムで迅速かつ正確に共有するために何が必要かを調査・提言した事例です。当社にとって初の防衛省案件であり、落札情報として公開されている範囲の内容を掲載しています。
限られた資料のなかで現行システムの実態を整理し、「2段階の改修方針」「5年以内のロードマップ」「将来への4つの提言」までを根拠付きで提示。6か月の調査研究を完遂し、総合評価で最上位のご評価をいただきました。
本事例のポイント
- 防衛省・陸上自衛隊の調査研究役務を、入札を経て受注し完遂。当社初の防衛省案件
- 詳細な設計資料やソースコードを直接見られない状況でも、公開情報・論文・装置のデモ見学・ヒアリングから現状を整理し、根拠付きの概算見積まで作成
- 課題整理にとどまらず、段階的な実施方式と年度別の事業計画まで具体化。お客様の次の改修事業への移行を見据えた提言に
- 顧客評価では、総合・品質・報告連絡相談・柔軟性の4項目で最上位の評価
これまでの歩み
- 2025.09入札に参加し落札。9月30日に契約締結
- 2025.10キックオフ、調査研究実施計画の報告会
- 2025.10 – 12Q&Aによる確認、外部への情報収集、装置のデモ見学
- 2025.12中間報告会・中間報告書の提出
- 2026.03最終報告会、成果報告書の納品・検収
プロジェクトの背景
NBC事態では、状況判断の速さと正確さが、部隊の防護と任務遂行に直結します。陸上自衛隊 化学学校様では、ネットワークと切り離された単独のNBC関連装置で算出した結果を、外部から隔閉された専用クラウド上のシステムへ共有する際に、人の手による作業が必要でした。そのため時間と手間がかかるうえ、結果を正確に移せないおそれがありました。加えて、装置の稼働基盤はメーカーのサポートが終了しており、いずれ見直しが不可欠な状況でした。
そこで求められたのが、「装置の結果を、専用クラウド上のシステムですばやく正確に共有できるようにするには何が必要か」を、改修に先立って調査・提言することでした。開発そのものではなく、「どう進めればよいか」を根拠付きで示すことが、この役務の任務です。
協栄情報は入札を経てこの役務を落札し、2025年9月30日に契約を締結。6か月間にわたり、現状把握から実現目標の検討、費用対効果と将来提言までを担当しました。
協栄情報の支援内容
現行システムの実態把握と機能整理
2025年10月 – 12月
仕様書が定める調査項目の①②として、現行システムの実態を把握し、早期に改善すべき課題を絞り込みました。
限られた資料から現状を復元詳細な設計資料やソースコードを当社が直接見られるわけではありません。そこで、仕様書・取扱説明書・学術論文・過去の調達実績などの公開情報を分析し、装置のデモ見学とお客様へのヒアリングを重ねて、システム構成・機能・運用体制・コスト構造を整理しました。わからないことは「わからない」と明記したうえで、次の検討へ進めています。
認識を繰り返し合わせる対面の打合せ10回以上、Q&Aシートでの確認約20件を通じて、お客様と認識のずれを早期にそろえました。あわせて、地図・センサー・原子力・クラウドなど各分野の専門家や事業者からも情報を集め、代替手段や海外事例を調査しています。
利用目的と利用者の整理各システムの利用目的と利用者を整理し、早期に改善すべき課題を3つに特定しました。
実現目標の検討と段階的な改修方針
2025年12月 – 2026年2月
調査項目の③として、課題を解消するための段階的なシステム構築イメージと、5年以内を見据えた中期ロードマップを作成しました。
2段階で進める方式第一段階では、装置の稼働基盤を更新し、算出結果を標準的なデータ形式で出力して、専用クラウド上のシステムへそのまま取り込めるようにします。第二段階では、装置の機能を専用クラウド上のシステムへ移行し、システム上だけで結果の作成から共有まで完結させます。「一度にまとめて改修する」案とも比較し、安全性・障害時の原因の切り分けやすさ・見積の精度の3点から、2段階方式が適切だと判断しました。
不確実性への備え現行システムのソースコードの有無が不確実だったため、有無に応じて2通りの実現方法を用意し、それぞれの概算コスト・工数・工期を提示しました。どちらに転んでも、次の一手が打てる状態にしています。
事業計画の策定支援と将来への提言
2026年1月 – 3月
調査項目の④として、ライフサイクルコストと費用対効果を整理し、年度ごとの事業計画と、将来に向けた提言をまとめました。
年度別の事業計画予算要求・調達・実施の時期を、2つの実現方法それぞれについて時系列で示しました。「いつ、何を、どの順で」進めればよいかまで具体化しています。
将来に向けた4つの提言国内外の将来研究や海外の先行事例を根拠に、①専用クラウド基盤の強化と商用クラウドの活用(政府のセキュリティ基準を踏まえた移行方針)、②専用クラウド上の既存NBC関連システムの機能強化、③他システムとの連携、④AIの活用による判断支援、を提言しました。
根拠をたどれる報告書報告書に書いた事実や数字には出典を付け、出典資料一覧と出典資料集を作成。文書は自衛隊の文書実務に沿った書式・用語で作成し、中間報告後の指摘事項は一覧化して、成果報告書を6回改訂して反映しました。
進捗の細やかな共有
2025年10月 – 2026年3月
期間を通じて、進捗と調査の方向性を逐次お客様へ共有しました。そのおかげで、お客様側の業務の一部を先行して進めていただくことができました。
成果
お客様との対面打合せ
Q&Aシートによる確認
報告書の根拠とした出典・参考資料
実行できる計画への落とし込み:課題の整理で終わらず、2段階の改修方針、概算コスト・工数・工期、中期ロードマップ、年度別の事業計画までを一貫して提示しました。
豊富な納品物:成果報告書(本文47ページ・全6章)、報告会用の概要説明書(97枚)、別添資料12点(計112ページ)、出典資料などを納品しました。
お客様からのご評価:顧客評価では、総合・品質・報告連絡相談・柔軟性の4項目で最上位の評価をいただきました。総合は「期待を大きく上回る成果であり、非常に満足」、品質は「期待を上回る品質であり、非常に満足」です。納期・管理・生産性についても「満足」との評価でした。
調査研究で一番大切にしたこと:調査研究は、正解が最初から決まっている開発と違い、お客様が思い描く「あるべき姿」と当社の理解をどれだけ早く・深くそろえられるかが、成果の質を左右します。打合せのたびに見つかる認識の違いを迅速かつ丁寧に修正し、認識がそろってからは高い生産性で成果物をまとめました。
今後の展望
今回の役務で培った、「限られた情報から現状を整理し、根拠を示して、実行できる計画に落とし込む力」は、システム刷新やクラウド移行の前段にある調査・構想づくりにも、そのまま活かせます。老朽化したシステムをどう更新するか、段階的に進めるべきか、費用と効果をどう見積もるか。そうしたお悩みに、官公庁案件で磨いた進め方でお応えします。
協栄情報は、東京都中央区に本社を置き、AWSをはじめとするクラウドの導入・構築・運用支援を中核に、システム開発や技術者の提供などを手がけています。これまで主に民間企業のお客様のクラウド活用を支えてきた当社が、専用クラウドと商用クラウドを組み合わせる移行方針の提言まで含めて防衛省案件を完遂できたことは、クラウドの知見に加え、調査力・設計力・コミュニケーション力を、官公庁の厳しい基準のもとで発揮できた証でもあります。
システム刷新・クラウド移行の「最初の一歩」から、ご支援します
現状の整理、移行方針の検討、概算見積、ロードマップの作成まで、協栄情報が伴走します。まずはお気軽にご相談ください。